或るトポロジストの回想

小さなコトを大きくカク

コロナ対応のこれまで①

コロナ対応に係るこの国の初期対応とその評価を独断してみる。また、今後に期待される国の方針について、こうだと良いなと思っていることを述べる。

 

めっちゃ長くなりそうなので数篇に分けて書いていきたい。

まずは振り返り。

『コロナ対応のこれまで』を見ていきたい(これが長い)。

 

 

 

 

今回のコロナ騒動に関して、まず日本におけるターニングポイントとなった事案とそれに対する自分なりの評価を考えてみたい。

 

当時は世間的に問題だと思われていた現象も後々見てみると杞憂であったというパターンがあるのではないか。

またその逆で、当時は気に求めていなかったことが後々に重大な意味を孕んだ事象として再認識されるようになったというパターンもあろう。

このあたりの時間差による認識のズレについてまとめておくのも大事ではないかと思う。

 

一応、時系列で考えてみる。

出典はなるべく配慮するが、世論の雰囲気とかは別にデータがあるわけではないので、「当時はこんな雰囲気が世間には漂っていたよね」くらいのファクトチェックで片付けてしまうこともあるので留意願いたい。

 

 

 

新型肺炎の発生

 

まずは昨年のこと、2019年12月について

以下、wikipedia*1から。

 

2019年12月[編集]

 

12月といえばまだ日本では完全に我関せずという態度で、というかもはや新型肺炎それ何?ぐらいの認知度であったように思う。早期に問題視していたのは台湾と韓国ぐらいで、日本を含め世界のほとんどの人がその重大さを認識していなかったように思う。というかこんなにひどくなるとは思ってなかった。

まぁ、ここについては特にやれることもなかったとおもうので特にコメントなし。中国当局の対応が不誠実だった(主観)ぐらいしかいうことはない。 

 

WHOの初期対応

 

続いての問題は世界規模における初期対応にミスがあったと言える点だ

 

人類の健康と生活の安定を世界規模で管理すべき責務を負うWHOの対応が非常にまずかったと思う。

 

WHOの動き*2

1月10日、WHOは全ての国々に「技術的指針」を送付し、感染が疑われる患者を特定したり、検査したり、管理したりする方法について助言した。WHOによると、当時のエビデンスは「人から人への感染はない、または限定的」であることを示唆していたという。

 

 

 1月14日、WHOの新興感染症対策部門を率いるマリア・ファン・ケルクホーフェ(Maria Van Kerkhove)氏が記者会見で、確認された41人の患者に基づけば「限定的な人から人への感染が起きる可能性」があると指摘し、より広範囲で流行する恐れがあると述べた。

 1月20日と21日、中国と西太平洋地域出身のWHO専門家が武漢を短期間で現地視察。

 1月22日、上記のWHO専門家らは、武漢で家族内や医療施設内での濃厚接触を含む人から人への感染が起きたエビデンスがあると指摘したが、「感染が及ぶ範囲を完全に理解するにはさらなる調査が必要」と述べた。

 1月22日と23日、WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長はこの流行が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に当たるかを判断するため、緊急委員会を招集した。同委員会は、合意に至ることができず、10日後に再び招集されることになった。

 1月28日、テドロス氏率いるWHO代表団が北京を訪問。テドロス氏と中国政府は、国際的な専門家チームを中国に派遣することで合意した。

1月30日、WHOは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に当たると宣言した。

 

 

1月の上旬といえば、中国当局が自国内でこのウイルスに関する『根拠のないデマ』を火消しにかかっていたとされる時期である。

また、日本では春節に合わせた中国からの旅行客の増加及び習近平国家主席の訪日予定などがあった。

『中国内で起きていることの実態はわからないが、WHOが非常事態宣言を出さない以上、日本としても中国相手に強行的な態度をとりたくない』という思惑があったように推察される。

 

中国がWHOに圧力をかけていたとされるニュースもいくつか飛び交ってはいたが、それらの真偽はさておき、1月頭の時点で中国内部の動向に関してきちんとしたデータに基づいた初期対応の重要性についての早期発信を怠ったWHOの責任は重いと考える(データを出さなかったとしたら中国も相当に悪だが)。


いずれにせよ、これがダイヤモンドプリンセスの一件に始まる各国の水際対策の遅れを招いたと思う。

 

 

日本の初期対応

 

さて、

この時期における日本はどうしていたかについて目を向ける。

なお、日本の国内初感染事例は1月16日である。この前後で、中国からの旅行客によって感染した人々がいたと考えられる。

国内に関してここで言いたいことは、おそらくこれらの中国人旅行客は国内感染爆発の引き金にはなっていないだろうということである。

 

初の患者が日本で報告されてから、国内ではみなこのウイルスに対する見方を変えたように思う。

『どうやら潜伏期間が長く、未発症の状態で歩き回った人が周囲に感染を拡大している』

であるとか

『若者は発症しないまま感染が終わる隠れ感染者であり、知らないうちにキャリアとなっている』

と言った見立てが広まった。これにより、

『電車内などは感染リスクが高いのではないか』

という、いわば今でいうところの「三密」の原型になる考え方が認識され始めた時期である。

 

僕が思うに、この三つの『』に述べた見立ては、半分正解で半分は間違っていたように思う。

日本でクラスター感染が確認され出したのは3月に入ってからである。

厚生労働省の勧告[編集]
集団感染におけるクラスターとは、感染経路が追えている数人から数十人規模の患者の集団のことである[3]。
厚生労働省は2020年3月1日、これまでの集団感染事例にスポーツジム、屋形船、ビュッフェスタイルの会食、雀荘、スキーのゲストハウス、密閉された仮設テントなどがあったとし、換気が悪く、人が密集して過ごす空間、不特定多数の人が接触する場所に行くことを避けるよう勧告した[3]。
3月3日、共同通信は、独自の集計で日本における新型コロナウイルスの集団感染(クラスター)が全国で9件発生し、ここからつながりのある感染者数が80人以上になると報道した[15]。これは調査対象となった感染者260人のうち約30%を占める[15]。この調査では、1カ所で4人以上が感染したとみられる事例をクラスターとした[15]。

wikipediaより引用*3

 

思うに、1月で市中感染が認められた!と騒いではいたものの、そもそも2月の間は市中に感染者なんてほとんどいなかったのではないだろうか。

『どうやら潜伏期間が長く、未発症の状態で歩き回った人が周囲に感染を拡大している』

というのは、一二月の時点では演繹されない答えであったと思う(結果的には正解であったが)。

一方で、

『若者は発症しないまま感染が終わる隠れ感染者であり、知らないうちにキャリアとなっている』

この「発症しないまま終わる」はおそらく誤りであろう。「知らないうちにキャリアとなる」というのも当時としては不正規であったと思う。

若者どうのとかいう以前に感染者がいなかったこと自体が感染拡大を防いでいた最大の要因であったように思う。だって当時の朝の電車は普段通りの満員電車、しかもみんなまだマスクしてないというような状況だったもの。

 

『電車内などは感染リスクが高いのではないか』

 

のちの三密定義から見ると、他人と喋らない国民性がある日本にとって電車自体がそもそも感染リスクがそこまで高くないと思われる。ただ、満員電車でマスクなしは流石に一回の咳などによる飛沫感染リスクは相当高いだろう。

そうではなくて、今ぐらいに適度に空いていて皆が静かにマスクをしている状況であれば感染リスクはかなり低いと思われる。

 

今と1、2月とでは一般人の感染ファクターである、電車の混み具合(密→疎)、マスク着用度(低→高)、隠れ感染者(無→有)という3点が見事に変化しているのだが、この変化のおかげで欧米的な爆発的な感染に至らなかったのではないかと思う。危ない。

 

 

今回はとりあえずここまで。

 

この後は2月のダイヤモンドプリンセスの事例、そして感染爆発の最大の引き金となったと思われる海外旅行者の帰国事案について考えてみたい。